麻枝准セルフカバー弾き語りミニライブ(前編)

10th KEY MEMORIAL FES,
2月28日(土)16:00〜17:00
麻枝准セルフカバー弾き語りミニライブ

麻枝准発言メモ(逐語ではありません)


本日はKey10周年メモリアルフェスにお越しいただきありがとうございます。
ちなみに、ミニイベントの中で一番競争率が高いのがこのミニライブでした。
(拍手喝采に)皆さん暖かいですね。

まず、なぜシナリオライタの僕がここで弾き語りをするのかについて。
10年間ゲームを作り続けてきて、プレイヤの顔を見たことがありませんでした。
ただ闇雲にKey原作のゲームを作り続けてきて、それは苦労の連続で、ゲームクリエイターの幸せって何だろう、と思うようになって、それは、皆さん、ファン(の支え?)で、そこで、(ファンに)会いに行くことだ、と思うようになりました。
自分はコミケとか即売会に行かないし、ゲームショップにも足を運ばないので、本当に自分のファンというものに会ったことがないんです。なので、会いに行こうと思いました。
でも、手ぶらでは申し訳ないと思って、歌を歌おうと思いました。

正直下手です。ギターも歌も人に聞いてもらえるようなレベルではないのですけれど、今日のために、こうして皆さんと会うためににがんばって練習してきました。
たぶん途中で何度もミスをすると思うのですけれど、情熱だけは込めて歌うので、ぜひ聴いてください。よろしくお願いします。

(曲準備)
僕だけスタイリストついていないんです。
寝起きのままですから。何もつけてない。
(「格好いいですよ」の声?)ありがとうございます。

歌「Last Regrets

歌「Birthday Song, Requiem」

本当に大人数の前に出たことがないので、ああ、こんな感じなんだなって思っています。
一応このイベントの紹介に、ギター片手に熱く語る、思いを語ると書いてあるので、していきます。

まず1曲目は「Last Regrets」を歌いました。記念すべき、自分の商業デビュー作です。
自分がこの業界で曲を書くという(ことになった)のは、折戸さんの太っ腹によるところなんです。
これは『Kanon』のオーディオコメンタリーでも言っているのですけれど、エンディング用だけ先にボーカルがあって、オープニングにも欲しいということになって、でも折戸さん的にはボーカル曲は1曲が限界ということで、そこで、僕がちょっと書いてみてもいいですかと訊いてみたら、ええよ、みたいな感じで言ってくれて、こんなに簡単でいいの?みたいな。

音楽でこの業界に入りたくて、どこを受けてもダメだった人間なので、こんなに簡単でいいのかと思ったのですけれど、でもこれは折戸さんのおかげで、それに感謝しますけど。だからこれがなかったら自分は音楽は作っていないです。普通、素人に対してええよなんて言わないですからね。で、ここから音楽生活というか音楽人生が始まった感慨深い曲です。

曲は最近の自分からするとすごく簡単で、4拍子だし、後半もメロディーに展開がないし、昔はこんなシンプルな曲を書いていたんだな、と。なので、歌う方も簡単なんですけれど、ここから難しくなります。挑戦していきますから。

(「Birthday Song, Requiem」について)これはLiaさんとの ヒットしたシングルの第2弾シングルです。第1弾は夏影だったんですけれど、Key+Liaのコンセプトはゲームとのタイアップなしで勝負してやるぜ、というもの。それはLiaさんの良さを知って、これだったら純粋に歌だけで勝負したいと思って、最初は人気BGM「夏影」のボーカル版で逃げ腰で出したのですけれど、「nosrtalgia」って曲が仕込んであって、俺的にはそっちが本命だったんです。ネットの評価でもこれがいいという声があって、タイアップなしでもやれるんだ、という手応えを得たんです。その第2弾がこの「Birthday Song, Requiem」で、これも当時としてはすごい好評だったんです。このCDのジャケットは自分がデザインしています。とても気に入っている。『Kanon』初回特典の「anemoscope」も自分がしました。今はもうデザインしていないですけれど。意見言うだけ。

歌「Song for friends」

拍手が長いですね。ありがとうございます。
「Song for friends」はベースは学生時代の曲です。学生時代は、3枚くらいアルバムをカセットテープでつくって売っていたんです。この曲は幻の4thアルバムからの1曲です。10曲書いて、歌録りしないままお蔵入りになっているんです。学生時代の曲は「Song for friends」もそうなので、今でも結構通用するんですが、当時PC-8801FHを使っていてサルベージできないんです。シーケンサが古すぎて。なので、凄いお宝が埋まっているんですけれど、救い出せないんです。
(「救い出して」の声?)なんとかしたい。昔のアルバムで1枚歌っても面白いなと思うのですが……。

5万払ってきた人いるんですか?なんか5万6千円とか。5万円分楽しんでいっていただけるか凄く不安なんですが。

次はまたさらに挑戦をします。次は「Hanabi」という曲をやります。ゲームの曲じゃないので知らない人もいるかもしれないですけれど、凄い難しい曲で、弾き語り成功率はきわめて低いです。

その前に歌詞の説明をしたいんです。6年前の作品なんですが、ネットでレビューや感想を見続けてきたんですけれど、歌詞の解釈を完璧にしている人を見たことがないので、自らその封印を解こうと。6年の時を経て。

1番はそのままなんですけれど、この曲は2番が問題なんです。まず、普通じゃない人たちが人里離れた施設に放り込まれて孤立しています。そのひと夏の脱出劇という話なんですが、「散歩の帰り道 鐘の音を聞いた」の鐘の音は学校のチャイムなんです。この音を聞いて、弟の方は「懐かしくて、涙がこぼれた」。お姉さんの方はいてもたってもいられず、学校に向けて走り出します。「君はひとり 足元に転がる石を見てた 僕は傷だらけの猫を抱いた」ここに含まれていることがすごいあるんですよ。チャイムが鳴って、学校に戻りたくて、お姉さんは駆けていったんですけれど、同級生が迫害している人で、石を投げられて傷つけられてしまうんですね。それで(この歌詞の部分は、)石を投げつけられた後なんです。猫も一緒にそこにいたので、石が当たって猫も傷だらけになっている。で、この状況を見た主人公の弟が、「守られ続けた僕らがいた そんな意味は忘れたままでよかった」って言うんですね。思い出さずにいた、迫害され続けていたことを。でもそのことがショックでお姉さんは「笑わなくなってた」。でも今度は「今度は僕があの夏へ連れ出すから」という最後に続くという解釈なんです。そういう解釈だと麻枝が言っていたよ、ってブログとかで紹介してもらったらと……。

(曲準備)
この曲、紙が2枚に渡っているんですよ。
(がんばれの声)
紙が左右逆……

歌「Hanabi

失敗しました。
Hanabi」は初めて歌詞に物語性をつけた曲なんです。「Spica」がA面扱いですが、本当はこの曲を送り出すつもりで このシングルは「Hanabi」が本命だったんです。多分、邦楽でもなかなかこれだけのテーマを持っている曲はそうないと思うんですけれど。自分の書いたリトルバスターズ!』のシナリオの中でうまく生かしていますけど。
これが物語性のある曲としてはHanabi」のような物語性の強い曲の中では、「Karma」が最高傑作かな、と自分の中では思っています。難しすぎて自分では歌えないですけれど。

歌「僕らの恋」

(以下続く……?)