天使に鼓動はあるか

麻枝准再始動、AngelBeats!とのことで、G's発売前に、ページ一読の所感をば。
すっかり振り回されっぱなしの消費者と堕している自分の脊髄反射をだだ漏れするだけのことですが。
そう易々と良かったね良かったねとはならない自分がいますよ。

まず、紹介の言葉の端々から、過去の作品との連続性(=何にも変わっていない)が浮かび上がってきます。
私自身も既に言及してきたことではありますが、ギャルゲープレイヤとして、ヒロインたちがどんどん幸せになっていくのを変わらない立ち位置で見続けてきたことは、周囲の変化に対して変わらない位置から見送り続けてきた存在といえるでしょうが、このページにある言葉はそのようなことと同様の印象で「それをここで見送り続けてきた」存在と言えるのではないでしょうか。「見守る」ですらない言葉の選択にも注意すべきでしょう。ただし、「見送る」の言葉は「Alicemagic」の歌詞で使われていたものからの引き続きですし、それが歌詞の中ではBAD END臭を漂わせ、その言葉は、実際に、小毬の鈴に対する「一度目の屋上」のような位置づけを感じさせるものでした。

その屋上を天上と近い位置とするならば、この「天使」なる者はそのような下界の行為を見通し諦念を抱きつつ手出しのできない存在となるでしょう。そしてそれは、『AIR』の空の少女のようでもあります。このように、上記の存在は、過去の作品におけるモチーフを引き継ぐ者です。それに加え、『リトバスEX』における沙耶の造形を強く引き継いだ「天使」と「死」という言葉による連続性が強調されていることは明確でしょう。

それらを踏まえてもっとも大きく従来作品より踏み出したと考えられること(=変わったこと)は「死後の世界」という点です。従来、所謂「永遠の世界」、「空の少女」のある世界、「幻想世界」などというある意味曖昧な位置づけに置かれていた世界の存在を、「死後」という位置に固定的に設定したことは、『リトバス』以上に明確さを追究することとならざるを得ないでしょう。

従来にもモチーフとして多用されてきた「終わり」を、「死」と同値と明言したこの言葉には、麻枝的モチーフとしては新しさを感じるとともに、設定を確定的に置かないと安心できないという『リトバス』以降の確定路線の延長ともみることができるのではないでしょうか。

その結果は、作品自体から把握すべきものですので、これ以上の確定的評価は、ここでは差し控えたいと思います。だいたい、どのようなメディア・形態になるのかすら分からないものですので。