コミックマーケット82購入分Key系同人誌感想

今までしばらくご無沙汰してしまっていたのですが、今回は早めにKey系同人誌感想を上げたいと思います。
私の方の感性がすっかり鈍っているので、たいしたコメントにはならないと思いますが、お許しください。
順番はサークル配置順です。たぶん。


サークル:えだまめ
筆者:すずさくさん
タイトル:『恋とはどんなものかしら』

リトバスあーちゃん先輩→恭介片思い本。切ない……。特に「部外者」発言が……。恭介のちょっとアンニュイな目が男も引き込みます(私にそのケはありません!)


サークル:甘杏
筆者:透音さん
タイトル:『きょーすけさんといっしょ3』

リトバス恭介シリーズも3作目ですか。表紙の切り方がおもしろいです。あーちゃん先輩→恭介の感情はそうくるか!という感じでした。男視点からはなかなかそうは見えないですねー、的な、また、鈴に対する恭介の笑顔アップが特に印象的です。少しはにかんだ感じが出ていて。


サークル:みけぶくろ
タイトル:『夏祭りに行こう!』

リトバス来ヶ谷×女体化理樹と思いきや恭介KY割込。でもなんとなく邪魔にはなっておらずよき仲間になっているのは良い感じでした。


サークル:PARADOX & 鈴木弐番館
筆者:みさき樹里さん & 鈴木このりさん・れもたろさん
タイトル:『Love Letter for You 3〜promise〜』

リトバス合作最終章。
ああ、「あなたの目が〜」の台詞はそういう風に使うんですね。こういうところはSS作家さん原作による換骨奪胎振りの鋭さが光ります。
後日談SSの方は、拓也も虚構世界を〜でなるほど感が。作中の情報から矛盾のないよう拡大してよく考えられてますねー。作中の事実にのみ基づいて拡張できない私と違って、頭やわらかいなあ、と思いました。
あとは懸案の小次郎じいさんが見られて俺得。


サークル:PARADOX & 鈴木弐番館
筆者:鈴木このりさん・れもたろさん
タイトル:『ごふうふきょうこま』

リトバス恭こま合作。このりさんネタ、先ほどの本がピーターパンならこちらは親指姫ですか。しかしマリッジブルーて……むしろ本編よりよほど重いんじゃ……そこがこのりさんの筆力ってやつですね。れもたろさんの漫画はさすがに母になっている方の実感がこもってらっしゃる!という感じでした。既に通過してきた点を温かく見守っている感があります。もちさんのは、男ならだれにでもありそうな、嫌な自分の父親みたいになりたくないという不安。みんな不安を踏み台に次に進んでいけるという話で一本筋が通されている統一感がすばらしいです。


サークル:ARI-COM
筆者:アリさん
タイトル:『いつもとなりに』真クド+α時系列再録集上巻

リトバス真クドまとめ。ほとんど既刊で読んだものですが、幕間の補完と時系列並べ替えによってまた少し違った味わいがありますね。単体では気付かなかった微妙な関連が喚起されそうな……。いままでは受け取りきれなかったアリさんの中での繋がった感じがすこし見えたような。『クドわふ』プレイしていないのでわからないところも……。


サークル:ARI-COM
筆者:アリさん
タイトル:『No:Wound』

Rewriteはあまり深く考えていないので、そういうつなぎ方もあったか、という感じで目を見開かされます。もうちょっと私自身が咀嚼できていればいいのですが、なかなか。


サークル:おかたづけばこ
筆者:飛多ケイコさん
タイトル:Makin' Happy! 4th『Bon Appetit!』

リトバス真クド本。あれ、世界の秘密をこんなに自覚した真人の真クドルートってスゴイアブナイ、という感じですね。これからもじっくり楽しませていただければ。


サークル:おかたづけばこ
筆者:飛多ケイコさん
タイトル:『Near Near』

リトバス真クド本。以前コピー本で買っていたものですがオフセ化に合わせて再購入。ふたりの距離が近づいていることに無自覚で、って真人らしいというか、真クド派の皆さんは、ほんとうに無自覚なままだけれど身体で感じられる心理的距離感を描くのがうまいなあ、と思いました。


サークル:iron
筆者:かなえさん
タイトル:『ラブリーデイズ』

リトバスはるかな本。何気ない日々の中でのできごとを個々人の性格に応じて丁寧に描いてらっしゃるなあ、と。特に葉留佳のアホ素直可愛いところと、対照的に佳奈多の素直になれない感が。


サークル:conica
筆者:紗倉澪さん
タイトル:『Persona』Preview

導入部のみとのことなので、完成を楽しみにしています。


サークル:ヤモセブン
筆者:まさゆさん
タイトル:『明晰夢のハーヴェスト』

Rewrite Harvest Festa!』瑚太朗&朱音本。未プレイですが読んでしまいました。素直になれない朱音さんがあちこちからにじみ出して良い本でした。ごちそうさまです。


サークル:ヤモセブン
筆者:まさゆさん
タイトル:『chuchuchuchu』

こちらもRewrite瑚太朗&朱音本。こっちは瑚太朗も含めてふたり可愛らしいですね。みんなのさらし者になっているふたりがたまらないです。


サークル:HONEY DROP
筆者:まきえもんさん
タイトル:『ロンリーウルフロンリーガール』

Rewrite吉野→小鳥片思い本。こんな思いがあったと仮想すると吉野がより可愛らしく見えてきますね。小鳥の立ち位置を考えると確かにコミットしていかないところに切なさが溢れるのですが、あまり考えたことのない視点からで、さすがまきえもんさんだと思いました。


サークル:HONEY DROP
筆者:まきえもんさん
タイトル:『おはヌーン』2012夏

中身はどれも初見でしたが……特にマリみて系がひどい!ひどすぎる!(ほめ言葉) こういうセンス皆無なので。


サークル:HONEY DROP
筆者:まきえもんさん
タイトル:『Let's Cooking!』(まどか☆マギカ本)

キュゥべぇを有意義に潰す本&想いはまっすぐには伝わらない本。報われないほむほむ。奥付のキャラ弁作り方が詳しい。私、がんばってつくってみる気になります!(なんか違うものが混ざった)


サークル:Pendola
筆者:ふゆいちさん
タイトル:『惚れ直したぜべいびー!』

前作に続きリトバス沙耶クド本ですが、EXの方の the 4コマ読んでいないです……。クドわふの話も下敷きにしている……? 元ネタ読んでから出直してきます……。


サークル:ポコポコ
筆者:ぽこぴさん
タイトル:『ABまとめました』

AngelBeats!再録集。基本ギャグでも時折入ってくるキュンとしたところが可愛いです。そのなかでもユイが一番愛されていると思うのですが、ストリートライブでその歌って……私はネタわかりますが、わかる人どれだけいるんですかー?


サークル:ポコポコ
筆者:ぽこぴさん
タイトル:『りらいとらいと』

Rewriteゆる4コマ。こんなふうにささやかだけれど笑いに満ちた日々だったらよかったのにね……。


サークル:Panda's Vision
筆者:日向ののかさん
タイトル:『easygoing!』

Key系リトバス4コマ中心本。まとめられてみると、やはり日向さんだけに『にゃつめきょうだい』と文字通り兄弟作のように思えます。


サークル:Panda's Vision
筆者:日向ののかさん
タイトル:『toward』

Rewriteコタコト"女心は難しい"本。瑚太朗の言葉が絵と合わさって凄い説得力……。俺も誰かのためにこれくらいのことが言いたい……ぜ(恥)。


サークル:ほしまめ
筆者:まなさん
タイトル:『Flower*Festa』

Rewriteキャラ×花のイラスト本。各人物に合った花を取り合わせているなあという印象。コスモスの明るさと、対照的なヒナギクのところの落差がRewriteらしいなと。


サークル:ほしまめ
筆者:まなさん
タイトル:『サクラヒメ

D.C.III本。未プレイなので出直してきます……が、さくらさんを追いかけてこんな文章まで書いてしまった私としては、彼女の末路(失礼!)を見届けるためにもやらねば……。
蛇足ですが、conicaからほしまめまで7サークル連続で購入サークルが配置されていました……。


サークル:苺砲
筆者:しらいちごさん
タイトル:『乙月杯日戦争』

タイトルから予感はしていたのですが、純情な男子としてはちょーっとコメントに困る作品ですね!(苦笑) ですが、瑚太朗君スカウターはいくない! セクハラ!


サークル:苺砲
筆者:しらいちごさん
タイトル:『いとしの花嫁』

本気で結婚するシーンだと思いました。でも小鳥さん本気ですよね! 可愛い。もっといちゃいちゃしていいんですよ?


サークル:苺砲
筆者:しらいちごさん
タイトル:『いちごのもと』

イベントちらしやHP上で見たものだけでなく、これまで見たことのなかったCLANNADKanonキャラのらくがきもあって眼福です。いままで見た絵のなかでルチアが良い感じだったので、髪をほどいて、エアインテークwをつけて……とやったらきっと名雪もうまいと思っていたらここで案の定という感じでした。また、最初の同人ジャンルがストパニというのも知りませんでした。


サークル:ease etc & 恋歌月姫
筆者:MiKANさん & 紋瀬夏海さん
タイトル:『Love Song from the Last Planet』

MiKANさんのSSで、私があまり深く理解をしようと思ってもできていなかった『終わりの惑星のLove Song』について、みなさんよく考えていらっしゃるんだなあ、という感想を持ちました。紋瀬さんパートについては、『Love Song』(旧作)のふたりに仮託して、結構率直な感想漫画がきて、これはこれでストレートでおもしろいです。かなーりぶっちゃけトークですが。


サークル:羽根屋根
筆者:くぅくぅさん
タイトル:『サムライ少女 壱』

オリジナル。5月コミティア新刊のようですが、強くて脆い人みたいですね。先々楽しみにしております。


サークル:猫庭
筆者:紅雪さん
タイトル:『ステレオサウンド

AngelBeats!ひなユイ本。好きに明確な理由が言葉として表現できなくても……という話。どつきあいながらも幸せそうでいいなあ、と思います。きっとユイもこんな日々を過ごしたかったんでしょう。


サークル:さのんの!
筆者:砂さん
タイトル:『さぁ、みんなであそびましょ!』

Key系のなかではちょっと特徴的な絵柄が目を引きました。死んだ世界戦線のみんながわらわらと騒いでいる様子が、どのページからもびんびん伝わってきて、わやくちゃなあのメンバーの魅力が引き出されていると思います。その中でも、ラスト2ページのところのゆりの顔がとても魅力的でした。本編「愛が生まれました」まで有効に活用して……。


サークル:さのんの!
筆者:砂さん
タイトル:『死んだぼくらの生きる日々』

前作と同様の印象の短編集が来て楽しみつつ、最後の1編だけ、シリアスさと説得力がガンと来る感じで引きつけられました。


サークル:Rurirara*
筆者:悠月さん
タイトル:『キラリ☆デイズ』

アイドルマスター シンデレラガールズ諸星きらり本。これ読んでいると、大柄で可愛いもの好きって、悠月さん自身のことを指しているんじゃ……と思いました。
きらりんで違和感あるとかいわれたら、むさいおっさんで可愛いもの好きな私のような存在は死ぬしかないじゃないですか! にょわー(錯乱)
確認したら182cmあったのね……。わたしゃも少し背が欲しいです。

コミックマーケット82ではお世話になりました

当日、恋愛ゲーム評論サークルtheoria及び委託先においでいただきました方には厚く御礼申し上げます。数多あるサークルの中で、特に多忙で参加者も多かった(概算で21万人とのこと)3日目にも関わらず、渋い評論サークルをごひいきにしていただき、誠に感謝申し上げます。

C82新刊『はつゆきさくら』論 あるいは拙速な新島夕作品群論への端緒

8月10日(金)〜12日(日)のコミックマーケット82・新刊情報をお伝えします。
then-dの評論サークル「theoria」新刊は「『はつゆきさくら』論 あるいは拙速な新島夕作品群論への端緒」です。
配置及び委託先は以下の通りです。

8月10日(金)東4ブロック・ユ-01b「liliane.jp」(FC(小説)島):委託先
8月12日(日)東2ブロック・T-48a「theoria」(評論・情報島):本家

新刊のほか、下記既刊もあわせて頒布します。
恋愛ゲーム総合論集2 特集:rewrite
恋愛ゲーム総合論集 特集:猫撫ディストーション、セカンドノベル

新刊の基礎情報は以下のとおりです。
A5サイズ、20ページ、モノクロ、プリンタ本、頒価200円(予定)
表紙絵:ぴざぬこさん(創攻線

内容は……『ナツユメナギサ』だったり『ナツユメナギサ〜NOSTALGIE〜』(VA文庫)だったり『キサラギGOLD☆STAR』だったり……あれ? いや、ちゃんと『はつゆきさくら』も言及しますよ? ただ全部とはいきませんが……主に桜(Graduation)と綾になりますが……。

6月30日に鍵っ子ustream(仮称)に参加します

安眠枕(@makura)さんからのお誘いで、初めてustreamで話すことになりました。また、古参の鍵っ子代表として、また、これまで関西方面遠征時にお世話になっておりました、りきおさん(@rikio0505)にも参加していただくようお願いしています。

実施日時     6月30日(土)22:00〜(2時間程度?)
主催者告知ページ http://www.i-love-key.net/archives/2012/06/then_d.html
俺的対象作品   MOON.、ONE、KanonAIRCLANNAD、Love Song、planetarian智代アフターリトバスリトバスEX、AB!、(終わりの惑星のLove Song:聴きましたが……)
触れていない作品 クドわふ、殺伐RADIO、AB!開発日誌。
語れない作品   Rewrite

安眠枕さんのご紹介では、私の当初の想定と違った告知になっていて、戸惑っています。
こちらの想定としては、上記Tactics/Key作品に関して語るという感じのつもりだったのですが……。

また、ご質問について安眠枕さんが募集されていますが、さすがにKeyのことなら何でも、というわけにはいかないと思います……。基本、作品の読み込み及び麻枝准担当部分に固執・特化しているので、偏りがあると思いますが、可能な限りお答えします。

そんな私でよろしければ、おつきあいくださいませ。
では、当日はどうぞよろしくお願いいたします。

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(2012/07/01朝)


http://www.ustream.tv/channel/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0-makura
↑こちらで放送しておりましたが、無事終了しました。
昨晩おつきあいいただきました方どうもありがとうございます!
最大時には70人くらいいらっしゃったようで、思わぬ盛り上がりに感謝いたします。
当初の予告で2時間と言っていたのですが、質問数の多さと詰め詰めの内容から、3時間は掛かるだろうと踏んでいました。結果的に3時間15分の長時間となりました。
声質、内容共にお耳汚しだったかとは思いますが、楽しんでいただくことができたのであれば、これに勝る喜びはありません。

『恋愛ゲームシナリオライタ論集2 +10人×10説』掲載原稿リンク集


恋愛ゲームシナリオライタ論集の第2弾として、2010年冬のコミックマーケット79より頒布いたしました、『恋愛ゲームシナリオライタ論集2 +10人×10説』につきましても、第1弾と同様に完売しました。こちらも今後の再版予定がないため、各原稿の書き手の方々に、自サイト、ブログ等での公開をお願いいたしました。主宰である私が把握したものを以下のリンク集として整理していきたいと考えております。取り急ぎ、こちらも目次を公開いたしました。今後、書き手の方の手による公開が進めば、リンク先も増えていくと思います。よろしくお願いいたします。


I.シナリオライタ論集+10人×10説

01-1.久弥直樹
悲劇のカノンを奏でるためのアレンジメント(Pinsyan)
  挿絵:『Kanon』より水瀬名雪月宮あゆ(わだぺん)

01-2.久弥直樹原案『sola』特論
そこに空があることの優しさについて。(夏葉薫)

02.三宅章介
三宅章介を深ーく考えるってことはよォー――、『幸せにエロゲーしているか?』どーかにつながるからよー、とっても大切なことだと思うわけよ(もりやん)
  挿絵:『To Heart2』より姫百合珊瑚姫百合瑠璃(ととと)

03.深沢豊
 03-1.私が夢みたノベルゲーム (Lian)
 03-2.「深沢豊、或いは失われなかった夢の話。」雪駄

04.連悠太&foca
連悠太+foca⇒「月面基地前」論 「俺たちの初夏はまだか」(Judge) →公開予定なし

05.おるごぅる
エロと、変態と、決断と(松波総一郎)

06.J・さいろー
J・さいろー論、あるいは少年と少女の王国(紅茶の人)
  挿絵:『ゆのはな』より桂沢穂波(singingroot)

07.タカヒロ
タカヒロ論 憧れのあとさき(highcampus)
 (1)前編(2)後編
08.保住圭
ふたりのいろ(simula)
  挿絵:『こいびとどうしですることぜんぶ』より遠藤陽介、園生玖羽(叶ふんわ)

09.なかひろ
主人公に望むもの 〜なかひろの場合〜 ver.0.5(バニッシュ)

10.東出祐一郎
東出祐一郎とクロスオーバーと(水音)

11.希(まれに)
希論─境界線で遊ぶ(勝山ペケ)


II.「30人×30説」補遺

01.呉
呉論補「Over Margin、或いは恋心おーばーどらいぶ」(ぱぶ)

02.御影
御影論補遺(葉山咲)



III.then-d評論・記録集〜リトバスCLANNAD・Love Song・麻枝准等〜
01.リトルバスターズ!ファーストインプレッション (初出:2007/9〜12)
  このあたりを参照:2007/7 , 2007/8 , 2007/9 , 2007/10
  挿絵:『リトルバスターズ!』より棗鈴神北小毬を中心に(疏水太郎)

02.『秒速5センチメートル』女々しい野郎どもの旅路の末路(初出:2007/12/05)

03.葉桜の季節に君を想う(初出:2008/08/17)
  挿絵:芳乃さくら2態とアイシア(疏水太郎)

04.君の知っている麻枝准は死んだ(初出:2008/12/30)
  挿絵:『リトルバスターズ!』より笹瀬川佐々美とそのとりまき3人(紗倉澪) 

05.麻枝准セルフカバー弾き語りミニライブ記録(初出:2009/02/28〜03/01)
 (1)前編 (2)後編

06.『CLANNAD』から見る幸福観(初出:2009/03/04〜03/09)
 (1)2009/03/04 (2)2009/03/09

07.この存在に肯定を――(初出:2009/03/20)
  挿絵:『リトルバスターズ!』より三枝葉留佳二木佳奈多(疏水太郎)
  挿絵:『リトルバスターズ!』より棗恭介、神北小毬(悠月)

08.麻枝准コンセプトアルバム『Love Song』解題(初出:2009/12/31)
  挿絵:『Love Song』track02「蒼の夢」より (紋瀬夏海)

09.麻枝准×岸誠二トークイベント in Waseda 〜way to/from AngelBeats!〜 記録(初出:2010.11.17)

10.『AIR』10周年――此処より、遥か
  挿絵:『AIR』より神尾観鈴と神奈備命(透音)

『恋愛ゲームシナリオライタ論集 30人×30説+』掲載原稿リンク集

2010年夏のコミックマーケット78より頒布いたしました、『恋愛ゲームシナリオライタ論集 30人×30説+』が再版分を含めて完売し、今後の再版の予定がないため、各原稿の書き手の方々に、自サイト等での公開をお願いいたしました。主宰である私が把握したものは以下にリンク集として整理したいと考えております。取り急ぎ、目次をざっと公開いたしました。今後、公開が進めば、リンク先も増やしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。


I.シナリオライタ論集

1.蛭田昌人剣乃ゆきひろ高橋龍也 ――  シナリオライターの誕生――蛭田昌人、剣乃ゆきひろ、高橋龍也(大石玄)
   挿絵:『To Heart』より浩之・あかり・マルチ(ととと)

2.丸谷秀人
エロゲーとまるちゃんとわたし(さひろ)
   挿絵:『sexfriend』より早瀬美奈(ととと)

3.麻枝准
亡き現在のためのパヴァーヌ(then-d)
   挿絵:『ONE〜輝く季節へ〜より長森瑞佳(ゑむ)
   挿絵:『リトルバスターズ!エクスタシー』より朱鷺戸沙耶と直枝理樹(夕住まう)

4.都築真紀
「とらハ」から「なのは」へ――都築真紀、萌えから燃えへの軌跡雪駄
   挿絵:『とらいあんぐるハート3』アリサ・ローウェル&『魔法少女リリカルなのはアリサ・バニングス(singingroot)

5.元長柾木
 05-1.美少女ゲームの貧しさをめぐって〜あるいは圧倒的な楽園の不在(夏葉薫)
 05-2.ゲームにおける選択について(C.F)

6.田中ロミオ
 06-1.存在と時間性――田中ロミオ後期作品における「多重的時間性」の現出(辺見九郎)
 06-2.ナラティヴの現在、最果ての共同体―『最果てのイマ』試論(tukinoha)
   挿絵:『CROSS†CHANNNEL』より山辺美希(くらふと)

7.すかぢ
 07-1.11年にわたる「生の意義」の探求(udk)
 07-2.美少女ゲームのエッジに挑もう――私的すかぢ論(fz)
   挿絵:07-1『モエかん』より朝霧かずさ(きの)

8.片岡とも
片岡とも――私的体験としての(もりやん)

9.荒川工
背伸びでキスして別れるセカイ(lucy)

10.枕流
天使の微笑みの下に(Judge) →2012.07.21で期間限定公開終了
   挿絵:『To Heart2』より小牧愛佳(わだぺん。)

11.虚淵玄鋼屋ジン
11-1.虚淵玄  不器用な愛の戦士・虚淵玄(水音)
   挿絵:『Phantom』よりアイン・ツヴァイ(アカギギショウ)

11-2.鋼屋ジン  抗うものたち――鋼屋ジン(水音)
   挿絵:『斬魔大聖デモンベイン』より九郎・アル(アカギギショウ)

12.高尾登山星空めてお
大嘘帝国騒乱記(勝山ペケ)

13.奈須きのこ
Kinoko Nasu/beginner's material vol01,"the Guardian of Sinners"
 ――アコースティック・リバースド・ワーズによる自壊連鎖構成法、あるいは浸食固有結界グラデーション・エアについて(佐藤リア)※リンク先は要約版

14.呉
Gift Cleared,或いは幸福のなり方(ぱぶ)

15.御影
選択と奇跡(葉山咲)
   挿絵:『D.C.』より芳乃さくら(わだぺん。)

16.吉宗鋼紀鬼畜人タムー
 16-1.あらゆる創作の元ネタは人生。だから面白い(儀狄)
 16-2.成長への意志――『マブラヴオルタネイティヴ』に見る主人公の段階的変化(はし)

17.早狩武志
うまくいくばかりが、恋じゃない(a-park)

18.トノイケダイスケ
私の愛したトノイケダイスケ(永倉大) →トノイケ氏が『Garden』完成後公開予定としておりましたがその機会は永遠になくなりましたorz
   挿絵:『ワンコとリリー』より松宮透子(叶ふんわ)

19.朱門優
エロゲにおける根本問題を超克した朱門優(松波総一郎) →公開予定なし

20.王雀孫
王雀孫シナリオは薔薇色に見えないこともないらしいぞ(simula)

21.丸戸史明
 21-1.丸戸賛歌〜僕が丸戸作品を愛する理由〜(アルジャーノン)
   挿絵:『パルフェ』より花鳥玲愛(singingroot)
 21-2.WHITE ALBUM2試論 丸戸史明の切り拓く新たな領域(tekitouotoko)

22.夏葉薫
 22-1.僕らはみんな男が好きで……(mp_f_pp)
 22-2.アストロ滑走団でわかる恋愛の才能(疏水太郎)

23.健速
特別でないことの特別さ/健速氏の描く主人公像を基軸に(MAKKI)
   挿絵:『そして明日の世界より――』より水守御波(アリ)

24.瀬戸口廉也
くそったれな世界と、精一杯の愛。(海燕

25.奈良原一鉄
difference et assujettissement/アンインストール&インストール・オブセッション(なしお)

26.るーすぼーい
演出家「るーすぼーい」へのラブレター 〜シナリオのセオリー〜(バニッシュ)

27.桜井光
桜井光というブランド(松波総一郎) →公開予定なし

28.七烏未奏
あなたは「幸せ」について真剣に考えたことがありますか?(wing_t)


<非18禁・コンシューマ・同人主体のシナリオライタ>

29.かざみみかぜ。
アノス・ワールド・オデュッセイ(sunagi)

30.打越鋼太郎日暮茶坊
打越鋼太郎日暮茶坊)論、を出発点とした小語り(川崎水姫)

31.西川真音
――流れる時間を 取り戻すために――(とりくずかご)

32.竜騎士07
 32-1.思考と物語の幅を広げる存在(かんでたくま。)
   挿絵:『うみねこのなく頃に』より右代宮縁寿(かんでたくま。)

 32-2.ゲームデザインが規定する物語(魔王14歳)
   挿絵:『うみねこのなく頃に』よりベアトリーチェ(くらふと) →初版オチ(申し訳ありません)


33.作家論批判
「なにが三十一人を殺したか」 ――WHOより語り、HOWへと至る(中田吉法)


II.『AngelBeats!』特集
   扉絵:『AngelBeats!』よりユイ(悠月)

01.『AngelBeats!』特集-1
「My Song」(simula)

02.『AngelBeats!』特集-2
――終わる世界たちに、最後のユメを――『AngelBeats!』について(なしお)
   挿絵:『AngelBeats!』より音無&奏(悠月)

『はつゆきさくら』1stインプレッション-2(シロクマほか)

今回はシロクマから始めましょうか。グルルルシロ!(いろいろ台詞あるけれど、「ル」はBGM名の3文字より4文字の方が落ち着きが良いと思っている私)

相変わらずネタバレ全開なので、未プレイの方は要注意。
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あややシナリオが前日譚であればシロクマシナリオは後日譚的なところを含むものではありますが、そこに至るまでにも、いろいろと見るべきものがあります。

1月16日の模擬授業シーンの以下の部分は、このゲームのエッセンスを伝えています。
後から振り返ってみると、極めてエモいこの台詞群が、オーラスまでの心理的変化を示唆的に言い表していることに気づくでしょう。

そして、このようにエッセンスだけで提示されると、例えば『智代アフター』あたりの麻枝准作品との近似が逆に析出されてくるような気がします。特に、ラストへの道筋を、シナリオの途中での冗談のようなやりとりの中で先んじて示してしまうことは、『智代アフター』でも明示的に行われており、このような手法の近似にも思うところがあります。

【シロクマ】「X×Y=W」
【シロクマ】「解けない。たどりつけない答え――」
【シロクマ】「いけた、と思った瞬間に、闇に閉ざされる、絶望」
【シロクマ】「Xが笑っている。Yが泣いている。答えが見つからないと、泣いている」
【シロクマ】「それでも、たどりつかなければならない」
【シロクマ】「たとえ、物理法則を歪めてでも……」
【シロクマ】「手に入れたい、真実がある」
【シロクマ】「全ての因果律を越えて、ただ、たどりつきたい」
【シロクマ】「それが、答えだ!」
【桜】「何の解決にもなっていないよ?」


【シロクマ】「見つからない……答えが、みつからないよう」
【シロクマ】「どこかに、消えてしまった」
【シロクマ】「確かに、手に入れたと思ったのに」
【シロクマ】「この手のひらを、零れ落ちて、失ってしまった」
【シロクマ】「答えが、どこかに行ってしまったんだよぉ」
【シロクマ】「答えぇ……」
【竹田】「沈む一方じゃない」


【シロクマ】「いくつもの出会いの果てに、たどりついた」
【シロクマ】「かけがえのない答え」
【シロクマ】「この年を決して、忘れないだろう」
【シロクマ】「いくつ季節がめぐっても……」
【シロクマ】「1392年。いざくにとういつ、南北朝
【シロクマ】「振り返れば、いつもそこに君がいた」
【一同】「……」
【竹田】「普通に語呂で覚えた方が早くない?」

「振り返れば、いつもそこに君がいた」の台詞で、右側遠めに桜の立ち絵が出ることと、南北朝統一が、初雪と桜の婚約というある意味統一的なものに掛けられていて示唆的過ぎるというか仕掛けが巧妙すぎるというか。ある意味シロクマ本編をここで相当喰っています。

【シロクマ】「シロクマ、生まれてはじめて、誰かのためにって思ったよ」

はベタだけれど、合格発表直前に逃げたくなる気持ちや、受験に失敗して、現実逃避するという揺り戻し、揺れ動きがあって一直線に向かわないところが、とても普通の市井に住む人間らしいとは思います。

更にシロクマに説教を垂れている初雪自身がそのことを乗り越えられているわけではなく、自分自身も同じような揺らぎの中に過ごしており、そのような状況にいることそのものが、初雪がゴーストチャイルドである、いや、ゴーストチャイルドのままでいる、というところと直結しているので、他人事ではないわけです。

このような点は、芳乃さくら68歳に見られるように(ナニソレ)、一度越えたはずの物事も、立場や状況、自分の立脚点が変われば、同じ課題がぶり返す、という点も指し示しており、成長とはそう単純な物事ではない、というところとも合わせて見ると、「桜の精霊」と自身を例える初雪が切実に思えてきませんか。思わないですかそうですか。

この辺りは、校長が入学の挨拶とも思えないような辛口の祝辞

【校長】「辛いことや、退屈なこと。下らないと思うこともあるでしょう」
【校長】「手応えのあることばかりではありません。いつか、希望にあふれていた未来から、あらゆる意味が消失し、荒涼とした場所に放り出されてしまったと思うときもあるかもしれません」(原文は「放り出さて」(ママ))
【校長】「それでも、歩き続け……たどりついたなら、そこにはあなたなりの祝福が、春が待っていることでしょう」

を述べる辺りも同様ですね。でも、我々は、奇麗事ばかりではない、こういう話をすべきなのかもしれません(上から目線)。この辺りも『智代アフター』で一度得たはずの幸福がするりと手から零れ落ち、放逐され、長い逡巡の後悟りの境地に至った(言い過ぎ)彼女の道筋を校長が語っていると考えてもいいですね。って被りすぎ。

春に至れなかった後日譚部分は、何かに囚われ続けてしまうこと、それがポジティブな印象のものであっても、ネガティブな印象のものであっても、根はそう変わらないのかもしれないということも含めて示唆性があると思いたい。

最後、留学に向かうシロクマ改め望月宝の姿が、髪型やリボンの位置を含め、某アイシアに見えるのは、何かのゴーストのせいですかそうですか。
でも結ばれなかった芳乃さくら以上に扱いが酷いと。


……ここまで書いて、この濃度でやっていくのが辛くなってしまったので、以下はまずはあっさりと。

あずま夜。他人から受けた罵詈雑言という呪いは、いくら前向きに頑張ろうと思っても本人自身を縛り付け、踏みとどまらせてしまう、という話。夜自身も凹みつつ前向きになろうとしつつ、何度も揺り戻しが来てしまうこと、心理的退行の象徴としてロリキャラのナイトメアがいること辺りは置き方としては明快だったかなと。

東雲希……というか、むしろ妻の方に注目してしまった私。若いうちは建前、理念、理想(本文中は正義感)を貫くことが美しく、正しいと思いがちだけれど、そのような想いを貫いてしまうことでかえって茨の道というか隘路に至ってしまう可能性が高いこと、そして、本人は忘れてしまっているが、そのような茨の道を歩んでしまったのが初雪という先達であること。妻には剣道部顧問の来栖(男)先生が庇ってくれたことにより先の道を遺してくれたにもかかわらず、理念に殉じようとしてその道を自ら潰してしまうとすること、などが同じ道を歩んでいる同士、という感じになったところはあると思います。そこに合わせて希のアホなまっすぐさが心に届くと。まあテキストに書いているとおりなんで。
オトナが、自分の不全感、不達成感を次の世代の者に押しつけ、と捉えられそうではあるのですが、受け止めて、耐えて生きろと。

まあ、ここまでをまとめると、新島夕的オトナのなりかた。みたいな感じですかね。
「Presto」歌詞で言えば「まだらな道のヒーロー」(まだらとは、一直線に成長に至らず、酸いも甘いも美醜も全て呑み込んでいる、という意味にとる)という感じですね。

あとは、希シナリオ中で竹田と金崎も、単に可愛く不良しているだけではなく、それぞれ、捻れている課題を有していて、それを提示してくるあたりですかね。あまり真剣にはならないけれど、抱えているものは何かしらあるみたいな。

今日のところはこの辺で。