(転載で失礼)ゲームミュージック同人アレンジ・オールタイムベスト10

はてなではたいへんご無沙汰しております。
某所に書いたものですが、どうも公開した方がいいものか、と思い、久々にここに書き込んでみるものです。既に似たようなことをやっていらしたら失礼。



たいした音楽的技術やセンスがないものの、主観だけで聴き続けてはや幾年月、アレンジCDの購入枚数が200枚を優に超えていることに気付いたことを記念して(?)、とりあえず記憶の範囲内でオールタイムベスト10を挙げてみたいと思います。
(まあ、アレンジCDに関しては、1000枚くらい持っている人がぞろぞろいても全然おかしくないと思います。200枚なんてまだ入門レベルといわれるかもしれません)

選曲条件は、一応以下のとおりとしました。
・自身が聴いたアレンジ作品10曲を選ぶ。
・アレンジ曲単位で評価する。基本はCD1トラック単位。
・アレンジのみとし、オリジナル曲は除く。
・所謂ボーカル曲は除くものとする。当然ボーカロイドが歌う場合も同じ。コーラスやサンプリング音声等が一部挿入された程度の曲は対象とする。(これは単に私がボーカル曲のトラックを飛ばすことが多く判断できないため。歌の巧拙もあると思うので、別枠でやったほうがいいかなとも思います。)
・原曲の種類・範囲は……言わずもがな、ギャルゲー系中心になることでしょう。
・可能な限り、アレンジャー1名に対して1曲としたい。

評価基準は、私自身の記憶に強く印象づけられているもの、という他ありません。そのため、極めて上手な作品でも、フックに引っかからなければ忘れられていると思います。悪い意味で言えば、一発頭を殴られたような感覚を受ければその時点で有利になってしまいます。告白すると、原曲が好きな曲であることがまず第一関門という気が……。並べてみたら暗く悲しい曲ばかりになってしまいました。


(1)「月陽炎」from『神が琥珀に染まるとき』(M-Groove! 月陽炎アレンジアルバム) Hatsu氏

アレンジの変化の豊かさとセンス&おしゃれ度合い、変拍子の採用、楽器の音色の再現性、それに原曲の持つ悲しみに更なる疾走感を加えて非のうちどころがないうえ、原曲を越えたと感じさせる説得性。完璧です。リコ(ガンスリ)風にいえば、ぞわぞわしっぱなしです。


(2)「追憶-L's Dozing Style-」from『Eternal Wind』(Apple Project ONEフルアレンジアルバム) LOUIS CYPHRE氏

元ネタを速くする、という発想はこういったアレンジの基本路線でしょうが、原曲の枠を大きく越える展開と変化、それでいて静謐感があり、原曲のしんみりした感じを残しているというところに惹かれます。


(3)「closed myself」&「もういない誰かとあたし」from『ixion』(CODE ZTS LABEL 天使のいない12月アレンジアルバム) ZTS氏

『天いな』といえばギターのこの曲、という感じですが、本アルバム内の最初と最後に現れて全体を統括していると思い、両曲を一体として扱わせていただきました。孤独感を強調する方向性が突出していて、死んでいいですか、という気になれます。


(4)「夜想-nocturne-」from『Porta Fortuna』(Deep Classic Kanon&AIRアレンジアルバム) Teee氏

AIR』と言えば「夏影」よりも「夜想」な私が来ましたよ、ということでこの曲は外せません。『Porta Fortuna』は1トラックからの流れが良く、この曲でかなりガツンときます。


(5)「Feather in dreams」from『Air in Dreams プレミアムCD Vol.7』(ねぴあ軍団)鷹石しのぶ氏

私が相当数聴いてきた限り、多くのアレンジャーが挑戦し、そして死屍累々、というのがエロゲ国国歌「鳥の詩」だと思いますが、その中で意表を突いて(?)、ピアノアレンジがマイベストと相成りました。この音の厚みと和音は凄いです。


(6)「遠いまなざし」from『ECLIPSE/ONE』(UI-70 ONEアレンジアルバム)如日氏

『ONE』で原曲を挙げるなら「遠いまなざし」と「A Tair」になりますが、これをどちらもアコギで攻めてくる如日氏のこのアルバムは良い意味で絶望できます。その中で、音を下げた後者よりも、こちらのほうがよりよかった感じなので、前者のアレンジを採用しました。エレキギターでぎゅいんぎゅいんいわせるのが特徴の如日氏から、敢えてこんなのを選ぶというのもひねくれているかもしれません。


(7)「鬼神楽-cool edit-」from『が、がお…。 プレミアムCD Vol.6』(ねぴあ軍団)Bee氏

単調で勢いだけという感もしなくはないのですが、一直線志向で逆に原曲を越えた、という感じがいちばんするアレンジかもしれません。途中から鷺巣詩郎テイストが入りまくりですがこれも時代でしょうか(笑)。鷺巣テイストではないところの方が個人的には好きです。


(8)「Fulled With Sorrow(Radio Edit)」&「Fulled With Sorrow(Original Mix)」from『TYPE-R 3rd -Side Key-』RIGHT STUFF)Tosh氏

ここまで古いものばかりだったので、新しいもので何かないかと思ったら、最近作でいいのがありました。『智代アフター』の「harmony with sorrow」を誰しも考えそうなネタ(速くする&音を厚くする)でアレンジしたといいう感じですが、これはかなりキます。死にそうだけれど頑張ってひとりで生きなきゃ、という感じにはなれると思います。


(9)「月下」from『Earthlight』(LevoLution)Lix氏

これも結構近作。LevoLutionといえばRPG系アレンジが多く、そちらからでも良かったのにわざわざ原曲が『月姫』のこれを選んでくる私はとことんエロゲに染まっています。でも曲はいいんです。序盤の低音の動きも、メロが入った後も。そしてとにかく押せ押せ。最後まで駆け抜けてくれます。


(10)「人形裁判〜人の形弄びし少女」from『東方幻楽祭典 Cradle』(Sound Sepher & Sepher Project)Godspeed氏(ViViX

バランスを考えて、現在主流の東方アレンジから1曲も入っていないというのはまずいだろう、ということで、東方アレンジ初期の集大成とも言える「Cradle」から、オーケストラアレンジのこれをチョイス。1枚目のtrk.9にもオーケストラ風アレンジがありましたが、構成に間延びがないのと硬軟織り交ぜられたオーケストレーションの巧みさがすばらしいのでこれになりました。ちなみに、最近は東方アレンジをほとんど買っていません。多すぎてフォローしきれません。たすけて。


以下は惜しくもベスト10入りを逃した、という感じの曲たちです。

・「黒翼の神薙は、白翼の絵空事。」from『桎となった純白の羽根が黒翼に抱かれ空を舞う』(M-Groove! AIRアレンジアルバム)Hatsu氏

これもバランスを考慮して、同じアレンジャーから2曲というのはまずかろう、ということでこちらに。吹奏楽ファン垂涎のHatsu氏のアレンジは、原曲なんて無視でもいいからとにかく管、管、管という曲作りをアルバム中に織り交ぜてくるところに最大の魅力があります。やりたい放題大賛成。音作りは管楽器中心で金管はらしく似せることが難しいところがありますが十分聴けます。


・「Beyond the mind」from『Vague3』(CODE ZTS LABEL)wirel氏

曲の始まりと終わりは4分打ち曲の難点というか、単調な感が否めないのですが、中間の旋律が盛り上がってくるところでは心臓を貫かれた感がありました。


・「Final Opion」from『ixion』(CODE ZTS LABEL)ZTS氏

ぜっつさんのアレンジですが、また同じ『ixion』からに。個人的にぜっつさんのマイベストCDはいまだに『ixion』です。


・「少女の檻 "Last Night, Last Dancing"from『Porta Fortuna』(Deep Classic Kanon&AIRアレンジアルバム) ビートまりお

このアレンジは好きなんですが、この後発表されたビートまりお氏のアレンジでは、これを越えて好きになれるものがないのが残念なところ。


・「Hシーン2 -metalic blue mix-」from『premier』(ちょむ工房)喬佳氏

タイトルが『雫』の原曲まんまでひねりなし。音自身はかなり濁ってしまっているのですが、勢いとネガティブ感満載の感触で相当やられました。


・「A Tair -Tight and Solid Style-」from『Eternal Wind』(Apple Project ONEフルアレンジアルバム) LOUIS CYPHRE氏

「A Tair」のアレンジも皆様いろいろとご苦労されている様子で、なかなかズギューンと来るものはないのですが、その中でも硬質で冷たい感じから来る疎外感が出ているもの、ということでこれをピックアップ。音の厚みがある分、孤絶感が減退した感を受け、同氏の「追憶」の方が選ばれたという感じです。


いかがだったでしょうか。原曲に偏りありすぎ!と叱られそうです。

これってバトンかなんかにした方が面白いですか?ご希望の方はご随意にやってみていただけると嬉しいです。

さて、やってみたものの、最大の問題は、これをきっかけに聴いてみようと思っていただいても、入手困難または在庫僅少なCDがあることでしょうね……。容易に入手できるものもあると思いますが。


(追記)
原曲でいえば「憂い」(『MOON.』)とか、「コズミック・ラン」(『Sense Off』)も非常に好きな曲なのですが、この2曲に関しては、残念ながら手元にあまりアレンジ曲がなくて、今回選ぶことができませんでした。アレンジが難しいのでしょうか、原曲が良すぎるのでしょうか。そのあたりは私には分かりません。