観鈴ちんの症状の原因?

紀伊国屋書評空間BOOKLOGにある、斎藤環氏による『発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい』綾屋紗月、熊谷晋一郎(医学書院)の書評より、観鈴ちんの他者の拒絶に関係するような記述がありましたのでご紹介します。なお、私は本書を読んではおりません。

ここでの斎藤氏による「〈彼ら〉はあまりにも「他者」に対して開かれているがために自閉的に見えているだけなのではないか」との言は、自分の「私的『AIR』論 恋愛ゲームを遠く離れて」の最初の部分で書いた観鈴の特徴に近似しています。

この障害を持つ人が言う「「植物や空や月」となら、つながれるという。」との言も、いわば空の少女と繋がろうとした観鈴の意志や、絶滅した恐竜や人から忌み嫌われるからすとなら繋がれるということで、人間集団に対しては祭りの様子を遠目から見てあこがれているだけ、というところとの一致も見られます。「楽しそうな笑顔の群れを見て、つながっている気分のおすそわけをいただく」というのは、神奈の目から見る祭りの様子とも言えますが、行動としては観鈴ちん的なものではないでしょうか。

これまで、自分はこの症例については詳しく存じ上げなかったので、『AIR』で書いたことは偶然の一致といえるでしょう。ただし、麻枝准氏はWikipediaによると中京大学文学部心理学科卒と書かれているので、彼自身がこのような知識を持ち合わせていて、そこから観鈴の人物造形をした可能性がありますが、あくまで憶測の域を出ません。ただ、異なる点もあります。観鈴は空腹感を適切に訴えることができるため、自分の生理的な認識までは不得手ではないと思われるので、彼女にこの病名を当てはめようとするものではありません。念のため。